欧州旅行記4・・・裏通り、飲食店など
 
1.フランス、パリ
 
  モンマルトルの近くの裏通りに飲屋街があって、細い路地の両側に数え切れないほどの店が並んでいました。椅子とテーブルが両側の店から溢れ出ていて、両隣や向かいの店のものと接するほどに近づきながら、どこまでも続いているのです。(これは勘違いで、モンマルトルじゃなくて、カルチエラタン−ソルボンヌ大学の辺り−を下におりたところ、でした)
 日本の飲み屋と違うのはメニューが店ごとに一つに決まってることで、酒類、つまみ、食事の3−4品でセットになっていて、それ以外にメニューは無く、店の客はすべて同じものを頼みます。その日のメニューが書いてあるボードを見て、自分の好みに合う店を選んでテーブルに着くわけです。大体日本円で1500〜2000円くらい。特に美味いわけでもないのですが、なんとなく、こういう食べ方がパリ風味ねって感じでした。
 私が座っても特に気にする風でもなく応対してくれました。さすがは観光大国で、外人慣れしています(イタリアとは大違い)。仕事帰りの労働者風の人たちでどの店も一杯でした。夜だったし写真は撮らなかったのですが、あの通りの情景は目に焼き付いています。
 
 ノートルダム寺院を見物した後近くを歩いていたら、川向こうに中華料理屋を見つけたので入ってみたのですが、客は誰もおらず、レジの所で若い女性が眠りこけていました(^_^;)。呼んでも起きず困っていたら、その弟らしい小学校高学年から中学生ぐらいの男の子が奥から出てきて、注文を取るのです(もちろん中国人風の子供でした)。で、適当にビールとか知っている中華料理を注文したら、調理人もいないらしく、その子が作り始めたのです(^_^;)。出してきたのをしょうがなしに食べてたら、なんと健気にも、「味はどうか」と心配そうに聞いてきたのです。同じ東洋人ということで、ちゃんとした評価が得られると思ったのでしょうか。もちろん美味いわけもなく、なんだか中途半端な味だったのですが(といって食えない程ではなかったのです)、適当に「良いよ」みたいな返事をして、もう一本ビールと料理を注文しました。それまで洋風料理ばっかりだったし、なんとなくホッとしてたということこともありました。食事の後もまだ娘は爆睡中で、レジもその男の子がやっていました。子供ながらに料理の出来や客の反応を気にするあの少年は、今どうしているのでしょう。
(子供の両親は多分休憩中だったのでしょう)



2.ウイーン
 
 何かモーツァルト関係の由緒があったと思うのですが、ウイーンに「カフェモーツァルト」という喫茶店があります(左の写真です)。話のネタにと思ってわざわざ探して店に入り、コーヒーを飲んでいました。ところが、飲み始めてすぐ、用事を思い出して5分ぐらいで出ようとしたのです。そしたら、ウエイターが声を出して驚いていました(笑)。まあ、それだけのことなんですが、日本じゃそう変でもないこういう行動も、カフェではゆっくり時間を過ごすのが当たり前のああいう国では信じがたいものなんでしょうね。

(ネットで調べたところ、名前の由来は、右のモーツァルト像がかつてその前にあったからだそうです。また、「第三の男」で有名だとか。私はすっかり忘れていますが。それで入ったのかなあ(笑)。左下の写真は、その映画で使われた観覧車。例の「500年の平和でスイスが生み出したものは〜」のセリフが出るところですね)

 
 


3.イタリア、ナポリ、ローマ
 
 ナポリの丘の上にある博物館まで行こうと、丘の麓にあるケーブルカーの駅へ向かって、最寄りの地下鉄の駅から歩いていました。そこは煉瓦造りの建物に挟まれた、やはり煉瓦造りの細い路地で、地元の人たちの生活空間になっています。建物の一階には日用品や食料品を売る店がずらっと並んでいて、店の人と買物客が賑やかにやりとりをしています。二階のベランダでは、おばさんたちが洗濯物を干しながら、向かいの建物の人と大声で話をしています。まさに喧噪のさなか、観光客なんかには全く無関心の風で、いつも通りの生活そのままなんでしょう。まるで昔のイタリア映画に入り込んだような、セットの中を場違いな人間が歩いているような錯覚を覚えたものです。
 売っているものの値段は安く、瓶一杯に入ったトマトジュースかトマトピューレのようなものが80円くらいの値段でした。その日は暑くのどが渇いていて、あれ飲みたいなあ、と強く思ったのですが、なんだか別次元にいるようなこの人たちとはコミュニケーション取るのは難しいだろう、ジュースなのかピューレなのか聞いてる内に大騒ぎになるんじゃないか、とか思ったりして、ちらっと眺めただけで、なるべく関わらないようにと通り過ぎました。
 
 その前に乗った地下鉄が、欧州で見たものの中での最大の驚きでした。いわゆる電車形式ではなくて、機関車で引っ張る形式なのです(もちろん電気機関車ですが)。地下鉄でこんなのは他に例があるのでしょうか。しかも、乗客が待っている場所が、通常よくある電車の床の高さのプラットホームではなく、昔の鉄道のように線路がある位置なのです。見上げる形になって、只でさえ大きな機関車が、ものすごく巨大に見えました。かつての満州鉄道の弁慶号だか義経号のようなのが、あの狭い空間の中をばく進してきたときには、ほんとに肝をつぶしましたよ。イタリア人は凄いことやるな、とある意味感心。
(これもネットで調べたら、すでに普通の地下鉄に変わっているようです。ちょっと残念。)
 
 ローマ駅の近くのホテルにチェックインした後、夕食を取ろうと外に出て、近くにあった小さなレストランに入った時の事でした。大通りから外れたところにある、さびれたような感じの店で、多少心配ではありましたが、店を探すのが億劫でそこにしたのです。
 入ったときからおかしな雰囲気で、中にいる客がもの凄い形相で睨みつけてくるのです。もうほとんど喧嘩をうってるような風情の客もいました。私は何だろうと思いながら、ボーイが来るのを待ったのですが、全然来ません。だいぶ経ってからしょうがなく呼んで注文したのですが、そのボーイも何か怯えたような顔をしていました。愛想よくするのを恐れているように堅い表情で受け答えしているのです。で、料理を待ったのですが、やはりこれも来るのが遅く、客は依然として睨んでいました。5,6品ぐらいのセットでしたが、3品ぐらい来たところで、止まってしまって来なくなりました(^_^;)。どうしようかと思ったのですが、トラブルになるのはいやなので、そこまでで諦めて外に出ることに。
 一体あれは何だったのか。地元客専用の店によそ者は入るな、ってことなのか、何かアジア人との間にトラブルがあって、対アジア人感情が悪化してたのか。よくわかりません。ボーイの態度には悪意は感じられなかったのですが。まあ、観光客はそれなりの店に行かなければいけませんね。
 
 しかし、ほんとにイタリアって妙なところでした。ナポリ駅なんて、あんなに有名な観光地なのに、まともな案内板なんかないし。インフォメーションボックスは、ごく小さいのが一つあったのですが、その周囲には観光業者が蠅のように密集していて、近づくと、「カプリ島へのクルージングとディナーでたったの〜だよ」みたいにしつこく迫ってきて五月蠅くてたどり着けません(連中はこういうときはしっかり英語を使う)。2回やって2回とも撃退されました。これがあの有名なカテナチオ(堅守のイタリアサッカー)ですかってところでした。日本で観光案内のパンフが取れないなんて考えられませんけどねえ。案内パンフぐらい取らしてくれよ、と泣きたくなりました。しょうがないので、日本から持ってきた「地球の歩き方」なんかを見ながらいくはめに(データが古かったり、細かい停車場とか書いてなかったりする)。
 あのカンツォーネで有名なソレントに向かう鉄道も、その本の隅っこに、ナポリ、ポンペイ、ソレントの3駅だけが書いてある小さな図が載っていましたが、ほかに頼れるものがなかったので、それを見ながらいきました(笑)。駅の構内にもそれらしい案内板は無かったような気がします(90年代のことですが)。しかし、上には上があるというのか、ホームで私に「ポンペイに行くにはこれでいいのか」と聞いてきた韓国人の家族がいたのですが、彼らが持っていた案内本の路線図には、ナポリとソレントだけしか書いてありませんでした(^_^;)。それはいくらなんでも簡単すぎるだろう、よくそんなのを頼りに移動してるなあと思いましたが、まあ五十歩百歩。しかし彼らも、ほかに聞けそうな相手を見つけられなかったんでしょうねえ。こっちもキョロキョロしながら歩いてる観光客なのに。ほんとにもう少し観光客に配慮して、案内板設置するとか、じゃまな業者追い出すとかしてほしいものです。ちなみにその家族、電車の中でも不安そうにしていて、混雑した中無事降りられるかどうか心配して見ていましたが、ちゃんと降りたようでした。


4.イギリス
 
 イギリスではたいした事も起きなかったので、あまり書くことはないのですが、あの昔懐かしい「カーナビーストリート」に行きました(^_^;)。煉瓦造りの瀟洒な一角でしたが、特になにもなく、一体なんでここが有名だったのかと、もはや夢の跡状態でした。
 

 ロンドン郊外に用事があって行ったとき、喫茶店に入ったのですが、日本人は珍しいらしく、客や従業員から興味津々で見られました。といってもイタリアのような感じではなく、また、ロンドン市街地の殺伐としたものとも違った、好意的な暖かい雰囲気のものでした。ちょっとものを訪ねたりしたのにも丁寧に応対してくれました。最後に自分でトレイを持って行くと、「あの日本人は自分から持ってきてる」と驚いたように言ってましたね。

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