欧州旅行記3・・・気になった人たち
 
1.ドイツにて
 
 フランクフルトの駅で汽車待ちをしてたときのこと、ベンチに座って案内本とか見てたのですが、近くに10代後半らしい女の子が座っていました。上下ともあまり綺麗な服装ではなく、下はジーンズ、上はセーターのようなものを着たちょっと太り気味の少女でした。その娘は何をするでもなく、30分ほど座っていたのですが、突然立ち上がって去っていくのを見て、私は仰天しました。その娘は何と、裸足だったのです。そして、裸足が当たり前であるかのように、すたすたと歩いて何処かへ消えて行きました。
 一体、駅で何をしていたのか、なぜ裸足なのか。どんな生活をしているのか。裸足の人など、私は、他では見たことはありません。アスファルトの道などで裸足は辛いです(どこでもそうでしょうが)。裕福なはずのドイツでなぜ裸足なのか。
 フランクフルトでは、駅前でジプシーらしい少女に両替を執拗にせがまれて困ったり(もちろん誤魔化して稼ぐ為の行為ですが)、駅前にインド人街があって、雰囲気がちょっと異様で通過するのが恐かったりと、移民が多い印象でした。あの娘もそうだったのかもしれません。黒髪ではありました。 

2.イタリア、ナポリにて
 
 イタリアでも、移民系の人たちが物乞いをしていたりするのを見かけました。
 
 ナポリ王国のかつての王宮は街を見下ろす丘の上にあって、今は博物館になっているのですが、そこに行くのにケーブルカーを使います。片道5分程度のものですが、そこで東欧系らしい母と子供の二入連れを見かけました。
 ケーブルカーが動き出すと、母親らしい人が乗客の座っている前に出て、何かを言い始めたのです。何語で喋ってるのか良く分かりませんでしたが(イタリア語とも思えなかったのですが)、言いたいことはなんとなく分かりました。お金を恵んでくれということです。そして、乗客の間を回ってお金を集めていっていました。途中停車駅がいくつかあって、その度に同じことを繰り返していました。堂々とした仕草が印象的でした。
 私は一旦丘の上に着いて博物簡に向かったのですが、なんとその日は休みで(+_+)、カメオ業者に付きまとわれながら周辺を一回りして、もう一度下りのケーブルカーに乗りました。すると、またしてもその親子を見かけたのです。で、同じ事をしていました。つまり、そこはその親子の言わば縄張りで、降りることなく、ずっとそこで物乞いをしていたのでしょう。
 そのケーブルカーは観光客専用というわけではなく、丘の斜面にある住宅街の人たちの生活路線にもなっているようでした。その日は地元の乗客が比較的多いはずで、しょっちゅう見かけているのでしょうが、それでも金を渡している人はそれなりにいました。
 ケーブルカーが半分ほど下りた頃から、子供の様子がおかしくなっているのに気づきました。4,5歳の男の子で、母親に何かをしきりに訴えているのです。その内、頭を後ろのガラスに何度もぶつけながら、叫び始めました。そして母親は厳しい顔でなだめていました。多分、その年齢の子供にとって、短い同じ路線の往復は耐えられないのでしょう。母親は子供に、生きていく為だから我慢しなさい、と言っているようでした、言葉は分かりませんでしたが。
 
 ナポリからポンペイの遺跡やベスビオス火山のそばを通ってソレントに行く路線があります。人気路線に違いなく、私が乗ったときも大変込んでいました。するとその中を母親に連れられた家族連れが賑やかに歩いて来たのです。幼稚園〜小学生ぐらいの女の子が3人、にこにこしながら母親の後をついていました。やはり東欧系の物乞いなのですが、やけに陽気なのです。女の子達は、乗客に愛嬌を振りまきながら母親の仕事に協力していました。ケーブルカーの男の子とはえらい違いでした。路線の周囲の景色の良さ、明るさもあるでしょうが、女の子だってことが大きかったのかもしれません。適応力の違いでしょうかね。
 

3.長距離列車の泥棒

 
 イタリアでは色んな変わった人を見たのですが、これはとびきりでした。
 ナポリ発の夜行の長距離列車だったのですが、コンパートメントに入ると既にそいつはそこにいて、窓から上半身を外に出して、隣のコンパートメントの人と話していたのです。お仲間でしょうか。そういうのって、既に普通の旅行客じゃないのでは? しかもそいつはスニーカーに体操服のようなものを着て、ベルトに挟んでいるバッグ以外は荷物もないのです。あんた泥棒でしょ、と言いたくなるような奴でした。体付きはサッカーのマラドーナに似て、背は低く小太りで、顔もよく似ていました。
 そいつ以外は普通の旅行客が私を入れて3人で、6席を互い違いに座っていました。そいつは落ち着き無く、あちこち席を変えたり、外に出たり、窓から隣のお仲間と話したりしていました。普通の3人は警戒心露わにしながら、無視しようと努めていました。
 しばらくバタバタしたあと、そいつはコンパートメントの外に出て行って中々帰ってこなくなったのです。30分程過ぎても帰ってきません。なんとなくホッとした空気が流れ、、3人は眠る準備に取り掛かりました。私の座席のすぐ左側が入り口で、私は入り口のカーテンを閉めたり荷物にカギを掛けたりしたあと、うつらうつらしていました。
 ところが、ふと気づくと、そいつが私の右隣に座っていたのです。目の前を通られ、すぐ隣の席に座られたのですが、その時点ではまったく気づかなかったのです。さすがにプロ、油断させてたのか!、と感心してしまいました。私が気づいた時、そいつは異様な眼付きで室内を眺め回していました。獲物を見定めていたのでしょうが、すぐに他の客も眼を覚まし、結局そいつは仕事が出来ませんでした。あの抜き足差し足や目つきは凄かったとは思いますが、あまりに分かりやすい物腰で、一体そいつがその仕事において有能だったと言えるのかどうか、今もって判断が付きません。

4.パリの地下鉄スリ
 
 パリで地下鉄に乗ろうとしたところ、前の乗客が入り口の辺りで妙にゆっくりと進んでつかえた状態になりました。そしてすぐ後ろから、別の乗客が体を押しつけてきたのです。典型的なスリの手口ですが、私は始めての事で気が付きませんでした。そして次の瞬間、私の財布が宙を舞っていたのです(^_^)。チェーンを付けていた為にスリは取ることが出来ず、手から外れてしまっていたのです。私は何かうっかり引っ掛かったのかと思ってすぐに回収して、事なきを得たのですが、その時点でスリの二人組は車内におり、ドアは既に閉まっていました。私はその時点ではスリとは気づかなかったのですが、なんとなく妙な空気になっていて、他の乗客もこちらをみていました。その二人組もバツの悪そうな表情をしていて、これってひょっとしてスリ?とか思ってそいつらを睨んでるうちに次の駅に着いて、二人組はさっさと逃げてしまいました。まあうっかり騒いで刃物とか出されたりしたらシャレになりませんから、それで良かったのかもしれません。別の所で既にカードやカメラを盗まれていて、その財布に入っているカードがラストの一枚だったので、ほんとに助かりました。チェーンの威力は偉大です。 
 
ご意見・ご感想は→掲示板